手術事例ブログ
2015年6月11日 木曜日
猫 耳 扁平上皮癌 手術 動物病院 調布 府中 三鷹 稲城 武蔵野 狛江
猫さんの耳になかなか治らないカサブタがある・・・こんなときは要注意です。
特に毛の白い猫さんの耳や目のまわり鼻の先には恐ろしい腫瘍ができることがあります。
その名も扁平上皮癌といいます。原因として紫外線の影響が考えられています。
「耳の先を怪我して以来、カサブタができてはとれる」、「病院で塗り薬もらったが治らない」等の主訴で来院されます。
例えばこんな感じです。
カサブタの部位が徐々に根元に広がっていきます。
カサブタがとれると首を振った時に血が飛び散ったりします。暑い季節だと化膿してしまうこともあります。
ゆっくりと進行していきますので、油断していると耳の根元まで浸潤していきます。
かなり進行しています。
耳根部まで進行している例です。ここまでくると手術で全てを取りきることが困難になります。
そしてこの先は顔が溶けていきます。遠くの部位に転移しにくい腫瘍ですが、局所ではどこまでも広がっていきます。
私は頭半分のところまで浸潤した例を見たことがありますが、常に化膿しており、痒いので掻いてしまい、膿や血が飛び散るという状況でとても痛々しかったです。その後、脳に浸潤したと考えられる症状で亡くなってしまいました。どんなガンも同じですが早期に治療することが最も重要です。
始めの写真の猫さんの手術の様子です。
腫瘍から十分なマージンをとって切除します。1回目の手術でギリギリで切除して、再発したらもう一度手術しましょうなんて考えは絶対にダメです!。腫瘍科研修医時代に、かかりつけの病院での手術後再発し、大学病院に再度手術を目的に来院してきた猫さんを見てきましたが、とても可哀想に思いました。
だから、癌が残らないようにしっかり余裕を持って切除します。しっかりと止血し、縫合します。
縫合が終わったところです。
手術後の様子です。
抜糸時の様子です。
手術後の病理検査でも余裕を持って癌が取りきれているということでした。これにて一件落着。
それでも反対の耳や鼻などにまたできることもありますので定期的に検診が必要ですね。
猫の耳はチャームポイントなので切除するのはとても心苦しいとは思います。しかし相手は癌ですから命を第一優先で考えなくてはなりません。そして出血や化膿を繰り返すことは生活の質が著しく低下します。そのことをよく考えていただければと思います。安易に経過を見るのはとても危険です。気になるようでしたら動物病院で見てもらいましょう!!
ちなみにこれは蚊に刺された後のアレルギー性皮膚炎です。外に出る猫さんに多いですね。蚊に刺されるということはフィラリアの予防をしっかりしないといけませんね!!
特に毛の白い猫さんの耳や目のまわり鼻の先には恐ろしい腫瘍ができることがあります。
その名も扁平上皮癌といいます。原因として紫外線の影響が考えられています。
「耳の先を怪我して以来、カサブタができてはとれる」、「病院で塗り薬もらったが治らない」等の主訴で来院されます。
例えばこんな感じです。
カサブタの部位が徐々に根元に広がっていきます。
カサブタがとれると首を振った時に血が飛び散ったりします。暑い季節だと化膿してしまうこともあります。
ゆっくりと進行していきますので、油断していると耳の根元まで浸潤していきます。
かなり進行しています。
耳根部まで進行している例です。ここまでくると手術で全てを取りきることが困難になります。
そしてこの先は顔が溶けていきます。遠くの部位に転移しにくい腫瘍ですが、局所ではどこまでも広がっていきます。
私は頭半分のところまで浸潤した例を見たことがありますが、常に化膿しており、痒いので掻いてしまい、膿や血が飛び散るという状況でとても痛々しかったです。その後、脳に浸潤したと考えられる症状で亡くなってしまいました。どんなガンも同じですが早期に治療することが最も重要です。
始めの写真の猫さんの手術の様子です。
腫瘍から十分なマージンをとって切除します。1回目の手術でギリギリで切除して、再発したらもう一度手術しましょうなんて考えは絶対にダメです!。腫瘍科研修医時代に、かかりつけの病院での手術後再発し、大学病院に再度手術を目的に来院してきた猫さんを見てきましたが、とても可哀想に思いました。
だから、癌が残らないようにしっかり余裕を持って切除します。しっかりと止血し、縫合します。
縫合が終わったところです。
手術後の様子です。
抜糸時の様子です。
手術後の病理検査でも余裕を持って癌が取りきれているということでした。これにて一件落着。
それでも反対の耳や鼻などにまたできることもありますので定期的に検診が必要ですね。
猫の耳はチャームポイントなので切除するのはとても心苦しいとは思います。しかし相手は癌ですから命を第一優先で考えなくてはなりません。そして出血や化膿を繰り返すことは生活の質が著しく低下します。そのことをよく考えていただければと思います。安易に経過を見るのはとても危険です。気になるようでしたら動物病院で見てもらいましょう!!
ちなみにこれは蚊に刺された後のアレルギー性皮膚炎です。外に出る猫さんに多いですね。蚊に刺されるということはフィラリアの予防をしっかりしないといけませんね!!
投稿者 西調布犬猫クリニック | 記事URL
2015年6月 4日 木曜日
骨肉腫 断脚手術 後肢 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市 稲城市 狛江市 動物病院
断脚手術とはその名の通り、足を切るという手術です。足を切るなんて、そんな残酷なことをなんでするの?
と考える方もいらっしゃるかと思います。なぜ断脚するか?それは「痛みの苦痛からの解放」をするために止む無く行うのです。
犬猫の断脚手術を行う際の主な理由は悪性腫瘍の治療のためです。中でも最も多いのは犬の骨肉腫というガンに対するものです。腕や足にできる骨肉腫は非常に悪性度が高く、診断時点でほぼ転移していると考えられています(目に見えていなくとも、がん細胞はすでに全身に飛び散っている可能性が高い)。なぜなら骨肉腫は骨にできます。骨の中には骨髄が存在しそこには大量の血液が流れています。この血流に乗ってがん細胞が全身に飛び散っているのです。これゆえ骨肉腫は断脚してもまず治すことはことは困難なのです。
治せないのになぜ断脚するのか?それは先ほども書きました通り、痛みからの解放です。そのほかに腫瘍のおおもとを無くす(減容積)という役割もありますが、どちらかというと前者の意味合いが大きいと考えます。
骨が腫瘍によって喰い溶かされるときはどのくらい痛いのでしょうか?これは体験したものにしかわかりませんが、1つの例えでいうと骨に釘を刺してそれをグリグリと動かされているような痛みだそうです。さらに骨溶解が進むと病的骨折を起こします。つまり骨がスカスカになりボッキリ折れてしまいます。これにより痛みはさらに大きくなります。動くたびに激痛が走るでしょうし、横になっていても常に酷い痛みに魘されるでしょう。この痛みを抱えながら生きることを想像してみてください。
これゆえ止む無く断脚するのです。いままでたくさんの骨肉腫の痛みをを抱え、弱っていた犬達を見てきました。そんな彼らが断脚手術後、見違えるほど元気になっていきました。骨肉腫の性質上そんなに長く生きることができませんが、最後を迎えるまで激しい痛みから解放され安らかに逝くことを願い、断脚するのです。
この犬の例は後肢の大腿骨の膝に近いところにできた骨肉腫の例です。
はじめは何となくびっこをひくから始まり、徐々に跛行の程度が酷くなり各種検査により骨肉腫と診断されました。
まず、鼠径部の大きな動脈を結紮離断します。これにより足に流れる血液の量を減らします。
次に、大きな静脈を結紮します。
次に股関節にアプローチするために、筋肉を切断していきます。
丁寧に筋肉を分断していき、股関節に到達します。
丸くみえるのが大腿骨頭です。股関節を離断します。
股関節を離断した後、外側の筋肉を離断していきます。その際に太い神経には痛みを軽減するために局所麻酔を注射します。太い血管を丁寧に確実に結紮していきます。特に太い静脈は空気を吸い込み空気塞栓症の原因になりますので気をつけます。
後肢の切断が終了したところです。
切断した足です。
切断後は周囲の筋肉や脂肪を集めて縫合し骨盤を座布団でくるむようにします。そうするとその部位を下にして横になった時も骨が床に直接当たらなくなり快適になります。入っている管は疼痛緩和用のチューブです。数時間ごとに鎮痛剤を注入します。
手術が終わったところです。この後は48時間は痛みの管理を徹底的に行い、快適に過ごせるよう最大限努力します。約1週間で退院となります。歩けるまでの時間はかなり個体差がありますが後肢の場合には割とすぐに歩けるようになります。前肢の場合には手術までの期間によってだいぶ変わってきます。痛くてすでに患肢をついていないような場合にはすでに片足で歩くことに慣れているので手術後も早くから歩けるようになります。まで患肢をしっかり使っていた場合には歩けるまでに少し時間がかかります。その間は歩行を補助しトレーニングをしていきます。
術後5日目の小走りしているところです。
術後は2週間程度で抜糸を行います。その後は可能であれば抗がん剤による治療を行います。手術のみの中央生存期間は約80日とされています。抗がん剤を術後行うことで中央生存期間が半年から1年になると報告されています。
と考える方もいらっしゃるかと思います。なぜ断脚するか?それは「痛みの苦痛からの解放」をするために止む無く行うのです。
犬猫の断脚手術を行う際の主な理由は悪性腫瘍の治療のためです。中でも最も多いのは犬の骨肉腫というガンに対するものです。腕や足にできる骨肉腫は非常に悪性度が高く、診断時点でほぼ転移していると考えられています(目に見えていなくとも、がん細胞はすでに全身に飛び散っている可能性が高い)。なぜなら骨肉腫は骨にできます。骨の中には骨髄が存在しそこには大量の血液が流れています。この血流に乗ってがん細胞が全身に飛び散っているのです。これゆえ骨肉腫は断脚してもまず治すことはことは困難なのです。
治せないのになぜ断脚するのか?それは先ほども書きました通り、痛みからの解放です。そのほかに腫瘍のおおもとを無くす(減容積)という役割もありますが、どちらかというと前者の意味合いが大きいと考えます。
骨が腫瘍によって喰い溶かされるときはどのくらい痛いのでしょうか?これは体験したものにしかわかりませんが、1つの例えでいうと骨に釘を刺してそれをグリグリと動かされているような痛みだそうです。さらに骨溶解が進むと病的骨折を起こします。つまり骨がスカスカになりボッキリ折れてしまいます。これにより痛みはさらに大きくなります。動くたびに激痛が走るでしょうし、横になっていても常に酷い痛みに魘されるでしょう。この痛みを抱えながら生きることを想像してみてください。
これゆえ止む無く断脚するのです。いままでたくさんの骨肉腫の痛みをを抱え、弱っていた犬達を見てきました。そんな彼らが断脚手術後、見違えるほど元気になっていきました。骨肉腫の性質上そんなに長く生きることができませんが、最後を迎えるまで激しい痛みから解放され安らかに逝くことを願い、断脚するのです。
この犬の例は後肢の大腿骨の膝に近いところにできた骨肉腫の例です。
はじめは何となくびっこをひくから始まり、徐々に跛行の程度が酷くなり各種検査により骨肉腫と診断されました。
まず、鼠径部の大きな動脈を結紮離断します。これにより足に流れる血液の量を減らします。
次に、大きな静脈を結紮します。
次に股関節にアプローチするために、筋肉を切断していきます。
丁寧に筋肉を分断していき、股関節に到達します。
丸くみえるのが大腿骨頭です。股関節を離断します。
股関節を離断した後、外側の筋肉を離断していきます。その際に太い神経には痛みを軽減するために局所麻酔を注射します。太い血管を丁寧に確実に結紮していきます。特に太い静脈は空気を吸い込み空気塞栓症の原因になりますので気をつけます。
後肢の切断が終了したところです。
切断した足です。
切断後は周囲の筋肉や脂肪を集めて縫合し骨盤を座布団でくるむようにします。そうするとその部位を下にして横になった時も骨が床に直接当たらなくなり快適になります。入っている管は疼痛緩和用のチューブです。数時間ごとに鎮痛剤を注入します。
手術が終わったところです。この後は48時間は痛みの管理を徹底的に行い、快適に過ごせるよう最大限努力します。約1週間で退院となります。歩けるまでの時間はかなり個体差がありますが後肢の場合には割とすぐに歩けるようになります。前肢の場合には手術までの期間によってだいぶ変わってきます。痛くてすでに患肢をついていないような場合にはすでに片足で歩くことに慣れているので手術後も早くから歩けるようになります。まで患肢をしっかり使っていた場合には歩けるまでに少し時間がかかります。その間は歩行を補助しトレーニングをしていきます。
術後5日目の小走りしているところです。
術後は2週間程度で抜糸を行います。その後は可能であれば抗がん剤による治療を行います。手術のみの中央生存期間は約80日とされています。抗がん剤を術後行うことで中央生存期間が半年から1年になると報告されています。
投稿者 西調布犬猫クリニック | 記事URL
2015年3月 5日 木曜日
会陰ヘルニア 7 犬 手術 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市 多摩区
犬の会陰ヘルニアは中高齢の未去勢雄によく見られます。直腸のまわりにある筋肉群が萎縮してしまい、筋肉の間からお腹の中の器官や組織がでてきてしまうことにより起こります。見た目としては肛門のすぐ横の部分がボワンと膨らみます。ワンワン吠えたりするとその膨らみがさらに飛び出してくるように膨らみます。会陰ヘルニアになると何が悪いのかといいますと、直腸を支える筋肉が萎縮してしまいますので直腸が蛇行してしまったり、一部分が拡張してしまい、その部分にウンチが入り込んでしまいます。そうすると排便が思うようにできなくなります。さらに排便時に息むようになり、そのことでお腹の中の器官や組織(多くは骨盤腔内の脂肪、前立腺、膀胱、小腸)が萎縮した筋肉間からお尻の脇の皮下に脱出してしまいます。重度の場合には排尿がしづらくなることもあります。ただし一番の問題はやはり排便困難です。食餌療法や内科療法でなんとか便がでるようにし続けることも可能な場合もありますが、基本的には手術による治療が必要です。
手術の方法は様々な方法があります。開いた筋肉の間を縫い縮める方法が古くから行われていますがこれだけでは再発することが非常に多いため、最近ではポリエチレンメッシュなどの人工材料を使用しヘルニア部分を塞ぐ方法も多く行われています。しかし人工材料に対し、炎症反応を起こしたり、感染症を起こしやすいなどのデメリットもあります。そこで内閉鎖筋や浅殿筋・半腱様筋といった筋肉や睾丸を包んでいる総鞘膜などの生体内組織でヘルニア部位を塞ぐ方法も行われています。さらに前立腺や膀胱、結腸を腹壁に固定することによりヘルニア孔からお腹の器官や組織が脱出しないようにする方法を併用することもあります。
下の写真はお尻のヘルニア部位を手術する前に開腹し、膀胱を手に持ち引っ張っています。そして膀胱、精管、前立腺を腹壁に縫合固定し、さらに結腸も縫合固定します。これによりこういった臓器がヘルニア孔から脱出するのを防ぎます。
精管を縫合固定しているところです。ちなみに会陰ヘルニアを治療する際には去勢手術は必須です。その理由は直腸周囲の筋肉の萎縮が男性ホルモンに影響を受けているからです。ですから去勢手術をしたあとに不要になった精管を腹壁に固定します。
続いて、結腸を縫合固定しているところです。これが終わったら腹壁を閉じて仰向けからうつ伏せに体位を変えます。そしてお尻の横のヘルニア部位を手術します。
お尻の横をたてに切開し、去勢後、不要になった総鞘膜をヘルニア部分に引き込んできます。この総鞘膜と肛門括約筋や肛門挙筋、尾骨筋、浅殿筋、仙結節靭帯、内閉鎖筋などと縫合します。
縫合し終えたところです。総鞘膜は非常に丈夫な膜でしかも血行は保たれていますので強固な固定が可能です。
皮膚の縫合を終えたところです。手術後は数日間しぶりが続きますが、時間の経過とともに排便の状況も改善していきます。
会陰ヘルニアは割と高齢で患うことが多く、その場合飼い主様は手術を躊躇してしまうことがあります。その場合には内科治療を行い、排便困難が見られる場合には指で便をかき出したりする処置が必要なこともあります。しかしこの処置は非常に危険を伴います。なぜなら拡張した直腸は非常に薄く脆くなっており、処置中に穿孔してしまう可能性があります。穿孔した場合には直腸内の細菌が腹腔内に侵入していき、その後は骨盤腔内膿瘍、腹膜炎、敗血症などにより命にかかわる事態になりかねません・・・。
それゆえ、排便困難が重度の場合には外科的な治療を強くおすすめします。会陰ヘルニアが見られた場合には安易に様子を見ずに動物病院に相談しましょう。
西調布犬猫クリニック
手術の方法は様々な方法があります。開いた筋肉の間を縫い縮める方法が古くから行われていますがこれだけでは再発することが非常に多いため、最近ではポリエチレンメッシュなどの人工材料を使用しヘルニア部分を塞ぐ方法も多く行われています。しかし人工材料に対し、炎症反応を起こしたり、感染症を起こしやすいなどのデメリットもあります。そこで内閉鎖筋や浅殿筋・半腱様筋といった筋肉や睾丸を包んでいる総鞘膜などの生体内組織でヘルニア部位を塞ぐ方法も行われています。さらに前立腺や膀胱、結腸を腹壁に固定することによりヘルニア孔からお腹の器官や組織が脱出しないようにする方法を併用することもあります。
下の写真はお尻のヘルニア部位を手術する前に開腹し、膀胱を手に持ち引っ張っています。そして膀胱、精管、前立腺を腹壁に縫合固定し、さらに結腸も縫合固定します。これによりこういった臓器がヘルニア孔から脱出するのを防ぎます。
精管を縫合固定しているところです。ちなみに会陰ヘルニアを治療する際には去勢手術は必須です。その理由は直腸周囲の筋肉の萎縮が男性ホルモンに影響を受けているからです。ですから去勢手術をしたあとに不要になった精管を腹壁に固定します。
続いて、結腸を縫合固定しているところです。これが終わったら腹壁を閉じて仰向けからうつ伏せに体位を変えます。そしてお尻の横のヘルニア部位を手術します。
お尻の横をたてに切開し、去勢後、不要になった総鞘膜をヘルニア部分に引き込んできます。この総鞘膜と肛門括約筋や肛門挙筋、尾骨筋、浅殿筋、仙結節靭帯、内閉鎖筋などと縫合します。
縫合し終えたところです。総鞘膜は非常に丈夫な膜でしかも血行は保たれていますので強固な固定が可能です。
皮膚の縫合を終えたところです。手術後は数日間しぶりが続きますが、時間の経過とともに排便の状況も改善していきます。
会陰ヘルニアは割と高齢で患うことが多く、その場合飼い主様は手術を躊躇してしまうことがあります。その場合には内科治療を行い、排便困難が見られる場合には指で便をかき出したりする処置が必要なこともあります。しかしこの処置は非常に危険を伴います。なぜなら拡張した直腸は非常に薄く脆くなっており、処置中に穿孔してしまう可能性があります。穿孔した場合には直腸内の細菌が腹腔内に侵入していき、その後は骨盤腔内膿瘍、腹膜炎、敗血症などにより命にかかわる事態になりかねません・・・。
それゆえ、排便困難が重度の場合には外科的な治療を強くおすすめします。会陰ヘルニアが見られた場合には安易に様子を見ずに動物病院に相談しましょう。
西調布犬猫クリニック
投稿者 西調布犬猫クリニック | 記事URL
2015年3月 5日 木曜日
会陰ヘルニア 6 犬 手術 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市
犬の会陰ヘルニアは高齢の去勢していないオスで多い病気です。
症状としては肛門の片方あるいは両側が腫れてきます。腫れた部分の内部には拡張、蛇行した直腸や、膀胱、前立腺、小腸、脂肪組織、漿液が入っていることがあります。
会陰ヘルニアを放っておくと、排便困難、排尿困難などを起こし、命に関わる事態になっていきます。
治療は手術によるヘルニア整復と去勢手術です。
会陰ヘルニアの治療法には様々な方法がありますが、当院ではポリプロピレンメッシュを用いた方法を行なっております。
これまで様々な方法で手術してきましたが、このポロプロピレンメッシュを用いた方法は再発が少ないと感じています。
実際、今の所当院でこの方法で再発した例はありません。
当院での手術費用は入院費などを含めておおよそ25万〜35万円程度(重症度によって料金が変わります)。
当院での手術例です。このダックスフントのワンちゃんも排便困難を呈しており、手で掻き出してあげないと排便することができませんでした。
両側性ですがより右側のヘルニアが重度で便が溜まっているため腫脹しています。
まず仰向けの状態で手術を始めます。この子の場合はヘルニアが重度のため開腹し、直腸固定、前立腺固定を行いました。
陰茎の横を切開し、去勢手術を行います。
次に直腸を軽く引っ張って、腹壁に固定します。
直腸を固定することにより、直腸の蛇行を軽減することができます。
次に精管も腹壁に固定し、前立腺や膀胱が逸脱するのを防ぎます。
さらに前立腺、膀胱を腹壁に固定し、閉腹します。
お腹の縫合を終えたところです。
次に会陰ヘルニアを整復していきます。
ヘルニア内の内容を確認し、腹腔内へ環納します。
筒状にしたポリプロピレンメッシュをヘルニア嚢に押し込み周囲組織を縫合していきます。
仙結節靭帯、尾骨筋、肛門挙筋、内閉鎖筋、肛門括約筋と縫合します。それぞれの組織と確実に
縫合することがとても重要です。
右側が終了。
左側を切開し、同様の手技を行います。
メッシュを設置しているところです。
手術の次の日の様子です。まだかなり腫れています。
手術後1ヶ月の様子です。ヘルニアは完全に整復されています。排便も全く問題ありません。
会陰ヘルニアは高齢で患うことが多く、手術を躊躇されることがあります。しかし病態が進行すると
排便・排尿困難となり、死に直結する怖い病気です。もし会陰ヘルニアと診断された場合、なるべく早い段階で手術にて整復されることをお勧めいたします。内科的に便軟化剤の内服や用手による便の掻き出しもいずれは限界がきます。排便ができず1週間以上経過したのち急激に状態が悪化し、当院に救急搬送されてくることもあります。そうなる前によくお考えいただければと思います。
症状としては肛門の片方あるいは両側が腫れてきます。腫れた部分の内部には拡張、蛇行した直腸や、膀胱、前立腺、小腸、脂肪組織、漿液が入っていることがあります。
会陰ヘルニアを放っておくと、排便困難、排尿困難などを起こし、命に関わる事態になっていきます。
治療は手術によるヘルニア整復と去勢手術です。
会陰ヘルニアの治療法には様々な方法がありますが、当院ではポリプロピレンメッシュを用いた方法を行なっております。
これまで様々な方法で手術してきましたが、このポロプロピレンメッシュを用いた方法は再発が少ないと感じています。
実際、今の所当院でこの方法で再発した例はありません。
当院での手術費用は入院費などを含めておおよそ25万〜35万円程度(重症度によって料金が変わります)。
当院での手術例です。このダックスフントのワンちゃんも排便困難を呈しており、手で掻き出してあげないと排便することができませんでした。
両側性ですがより右側のヘルニアが重度で便が溜まっているため腫脹しています。
まず仰向けの状態で手術を始めます。この子の場合はヘルニアが重度のため開腹し、直腸固定、前立腺固定を行いました。
陰茎の横を切開し、去勢手術を行います。
次に直腸を軽く引っ張って、腹壁に固定します。
直腸を固定することにより、直腸の蛇行を軽減することができます。
次に精管も腹壁に固定し、前立腺や膀胱が逸脱するのを防ぎます。
さらに前立腺、膀胱を腹壁に固定し、閉腹します。
お腹の縫合を終えたところです。
次に会陰ヘルニアを整復していきます。
ヘルニア内の内容を確認し、腹腔内へ環納します。
筒状にしたポリプロピレンメッシュをヘルニア嚢に押し込み周囲組織を縫合していきます。
仙結節靭帯、尾骨筋、肛門挙筋、内閉鎖筋、肛門括約筋と縫合します。それぞれの組織と確実に
縫合することがとても重要です。
右側が終了。
左側を切開し、同様の手技を行います。
メッシュを設置しているところです。
手術の次の日の様子です。まだかなり腫れています。
手術後1ヶ月の様子です。ヘルニアは完全に整復されています。排便も全く問題ありません。
会陰ヘルニアは高齢で患うことが多く、手術を躊躇されることがあります。しかし病態が進行すると
排便・排尿困難となり、死に直結する怖い病気です。もし会陰ヘルニアと診断された場合、なるべく早い段階で手術にて整復されることをお勧めいたします。内科的に便軟化剤の内服や用手による便の掻き出しもいずれは限界がきます。排便ができず1週間以上経過したのち急激に状態が悪化し、当院に救急搬送されてくることもあります。そうなる前によくお考えいただければと思います。
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