手術事例ブログ

2013年8月21日 水曜日

猫の去勢手術

ネコの去勢手術をご紹介します。手術法はたくさんあります。私もいろいろな方法で行ってきました。その中で現在当院で行っている方法をご紹介いたします。

まず陰嚢の真ん中を切開します
 

次に睾丸を包んでいる総鞘膜を切開し、睾丸を取り出します
 

次に血管と精管を結びます。このとき糸やワイヤーで結紮したり血管と精管を分離してそれを固結びする方法もあります
 

同じことを反対側も行います。下の写真は睾丸とそれにつながる血管と精管です
 


血管と精管を結んで睾丸を切除します
 

最後に溶ける糸で皮膚の下を縫って終わりです。抜糸は必要ありません。


手術時間は麻酔をかけて、毛刈りや消毒などを含めて20分程度です。






去勢手術について

☆まず、来院時もしくはお電話にて予約をしていただきます。

☆手術当日は朝の食餌を抜いてきてください。前の日の夜ゴハンは9時くらいまでに与えてください。猫ちゃんで日頃、食餌を常に食べれる状態にしている場合も9時以降は食べさせないようにします。

☆手術当日は午前中の10時頃までに連れてきていただいて昼の12時〜16時の間に手術を行います。

☆手術の前に一般的な身体検査や貧血が無いか、白血球や血小板の数がしっかりあるか、さらに腎臓や肝臓の数値などの血液検査を行います。さらにご希望があれば胸部のレントゲン検査(別途料金がかかります)を行います。高齢の場合にはさらに追加の血液検査や超音波検査をおすすめすることがあります。とくに問題が無ければ手術を行います。

☆当院では去勢手術の場合は日帰りとなっております。ただし入院をご希望される場合には対応可能です。その場合別途入院費が加算されます。

☆当院では手術に伴う「痛み」に関し、徹底して管理しております。去勢・避妊手術だからといって手を抜くことはありません!ご安心下さい。

☆去勢手術や避妊手術は多くのネコちゃんが通る道です。手術をするのはこれが最初で最後の場合もあり、人生のビッグイベントです。ですから当院ではなるべく手術侵襲を少なくし、かつ疼痛管理を徹底し、ストレスを最小限にする努力をしています。「手術したんだから痛くて当たり前」、「動物は痛みに強いから」、「痛みをとったら逆に動き回っちゃうから」なんて考えはもうやめましょう。自分が手術をしたときの痛みを想像してみてください。もう病院に行きたくなくなっちゃいますよね。当院は長いお付き合いのために最善を尽くします。

                        東京都 調布市 西調布犬猫クリニック 
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2013年8月10日 土曜日

猫の腎臓腫瘍の手術

猫の腎臓がんの手術です。猫の腎臓の腫瘍にはリンパ腫、腎腺癌、腎芽腫などがあります。リンパ腫は外科手術ではなく抗がん剤治療が適応です。

今回の猫ちゃんのばあいは腎細胞癌でした。

真ん中にある丸いものが腫瘍に侵された腎臓です。血管が豊富で通常の腎臓よりも固くなっております。
腎臓の周りを剥離していき血管は結紮していきます。
  
腎臓の腎門部にある腎動脈、腎静脈、尿管をそれぞれ結紮します。


血管を結紮しているところです。


腎静脈を結紮したところです、太い血管は後大静脈です。


腫瘍を切除し閉腹したところです。癒着が無ければあまり時間はかかりません。


摘出した腫瘍です。

この猫ちゃんは13歳で手術をして、現在2年経過しておりますが再発・転移もなく元気に過ごしています。血尿やお腹を触った時にシコリが触れたりした場合に動物病院で診てもらいましょう。早期発見早期治療がなによりも重要です。

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2013年8月 4日 日曜日

犬の会陰ヘルニアの手術 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市 稲城市 動物病院

会陰ヘルニアは去勢していないオスに多く発生します。お尻の周りの筋肉が弱く、細くなってしまうため穴があいてしまい、そこからお腹の中の脂肪や腸、膀胱、前立腺などがでてきてしまう病気です。放っておくとおしっこが出なくなったり、便が出なくなったりします。治療は外科手術による整復が第一選択です。

会陰ヘルニア内に膀胱が逸脱している。造影剤で白くなっているのが膀胱です。重度になると排尿困難により尿毒症を引き起こします


こちらは会陰ヘルニアにより直腸が拡張し大量の固くなった糞塊が溜まっている。糞塊が固く巨大になると排便困難になることがあります


手術を紹介します。
手術法はたくさんあります。そのなかでどの方法を選択するかは獣医師の判断となります。
軽度の場合には周囲の筋肉や腱、骨膜などを糸で寄せることで整復可能です。しかし重度の場合にはさらにポリプロピレンメッシュやシリコンプレート等を使用します。最近ではなるべく人工的な材料をからだの中に残さないようにするために周囲の筋肉や睾丸を包んでいる丈夫な膜を使用する方法なども考えられています。

私の場合は一つの方法にこだわらず、そのコに一番合った方法をその都度考えて選択します。
今回の例は睾丸を包んでいる丈夫な膜を使用しています。

まず手術前の写真です。肛門周囲が盛り上がっているのがわかります。


まず、左側を切開し中の状態を観察します。お腹の中からでてきた脂肪で満たされています。
でてきているものをお腹に押し入れ、不要なものは切除します。そしてそこに睾丸を包んでいるしょう膜を引き込んできます。
  

そのしょう膜を肛門の筋肉や靭帯、骨盤の骨膜などに縫い付け、固定します。



反対側も同じように整復します。
 


最後に皮膚を縫合して終了です。




術後10日の写真です。ふつうのおしりに戻りました。


この睾丸を包むしょう膜を使用する方法は異物反応を起こさない、感染を起こしにくいなどのメリットがあります。反面、デメリットとして他の方法と比べ少し時間がかかります。それと去勢してあるとこの方法は使えません。ですので未去勢の比較的若くて元気なワンちゃんや異物反応を起こしやすい犬種には非常によい手術法だと思います。逆に高齢のあまり麻酔時間を長くとれないコにはメッシュなどの人工材料を使うのがいいと考えます。その他重度の場合に直腸や精管を腹壁に固定する方法を併用する場合もあります。


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2013年8月 1日 木曜日

脾臓の血管肉腫 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市 稲城市 動物病院

イヌの血管肉腫というがんは全身のどこにでも発生します。その中で脾臓という臓器に一番発生しやすいんです。この血管肉腫というがんの性格は最低・最悪で発見時には多くの場合転移していると言われています。なんでそんなに転移するのか?・・・。なまえの通り血管の腫瘍だからです。血管にできたがんの切れ端が血液に乗ってどんどん全身に運ばれます。それがどこかで引っ掛かってそこで成長します。僕が大学の腫瘍科時代にお世話になっていた川村裕子先生(前日本獣医がん学会副会長)はこの腫瘍のことを「高速道路で育った暴走族」と例えていらっしゃいました。まさにそんな感じです。
 治療は外科切除とその後の抗がん剤治療が選択されることがほとんどです。手術の目的は腫瘍本体をからだからなるべく早く取り出すということの他に、この腫瘍はすごくもろい腫瘍ですので破裂することが多々あります。破裂すると大出血を起こし、その日のうちに出血死の可能性もありますのでそれを防ぐという目的もあります。

脾臓から突出している血管肉腫です。癒着していることもあります。小さな出血部位に周囲の組織が癒着します。

 

血管を慎重かつすばやく結紮し切除します。
 


脾臓摘出後他の臓器に異常がないかを確認し、お腹を閉じます。

 

切除した脾臓です。まだ破裂する前に取り出すことができました。すでに破裂した場合には腫瘍がお腹の中に散らばってしまう可能性がありその後の生存期間にも影響することもあります。



手術後は補助治療として抗がん剤治療を行うことで全身に飛び散っているであろう腫瘍の種をやっつける努力をします。しかしそこまでやったとしてもこの血管肉腫は極悪ですので・・・。

PS:この手術をうけたゴールデンは2年後に亡くなりました。手術を受けた時が11歳でしたからなんとか天寿を全うできたかなと考えます。この腫瘍で術後2年生存はかなり長いと考えます。ご家族の努力や本犬のがんに対する抵抗力が強かったのでしょう。

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