手術事例ブログ

2016年1月25日 月曜日

咬み癖のある犬の犬歯の切断 動物病院 調布 府中 三鷹 狛江 武蔵野

犬の犬歯の切断はたま〜に行う処置です。あまりやりたくない処置ではありますが、咬み癖が治らないコもいて飼い主が大怪我をしてしまったなどでどうしても必要と判断した場合に行います。
 しかしこの処置はただ犬歯を短く切ればいいというものではないのです。もし犬歯を前歯と同じ長さ以下に切断するとどうしても歯髄を露出してしまいます。露髄した歯をそのままにしておくと当然その中には食べ物のカスや細菌が入り込んでしまい感染を起こします。感染を起こしてしまうと歯の根元の部位にも感染が波及し排膿したり歯が抜け落ちてしまうこともあります。当然その間はものすごい痛みが伴います。
これを防ぐために犬歯の切断部分をコーティングします。そうすれば歯髄が露出することはなく感染も起こりません。せっかく歯を切ったのに歯が痛いためにますます怒りやすくなっては逆効果ですのでしっかりとコーティングすることをおすすめします。


歯を切る場合にはまず全身麻酔をかけます。この大きな犬歯で咬まれたらと思うと背筋が凍りますね・・・。犬歯を前歯(切歯)の長さ以下に切断します。




犬歯の切断が終わりましたら、歯髄からの出血を止めます。


次に歯髄部分を4mmくらいの深さで掘ります。それと同時に切断した部分の角張った部分を丸く整えます。そしてその穴の中に水酸化カルシウムを詰め込みます。


次にエッチング剤を塗布し、切断面に凹凸をつけます。これは修復材のつきを良くするための作業です。
数十秒つけたら洗い流します。

そして風乾し、次にグラスアイオノマーセメントを充填します。充填後光照射器で照射し硬化させます。


つぎにボンディング剤を塗布します。再度照射します。


最後にコンポジットレジンを塗布し、歯を形作ります。再び照射し固め、最後に研磨し形を整えます。


照射しています。これにより硬化します。

さらに仕上げとしてボンディング剤を塗布し終了です。


これで髄腔が露出することはなくなりますので感染の心配はありません。


ただ切断するだけとは違い、とても時間のかかる作業です。これを4本終えると大きな手術をした時と同じくらいの疲労感に襲われます。歯医者さんて大変ですね・・・涙


これにて手術は終了です。この後の注意事項として、固いものをガリガリかじらせると覆いが取れてしまうこともありますので骨や固いジャーキーなどは控えた方がいいでしょう。

ps:こういったワンちゃんの歯切りはそれ自体も大変なのですが、性格がキツいコ達なので検査(血液検査やレントゲン撮影)をして、保定して留置を入れ、麻酔をかけることがなによりも大変なのです。終わって帰る時も点滴を取ったりするのにまた一悶着あったりして・・・。犬を飼う場合にしつけというものはとっても重要です。お困りの場合にはまずしつけの専門家であるドッグトレーナー、訓練士に相談してみてください。それでも咬み癖が治らない場合には歯を切るというのも1つの選択肢ですのでご相談ください。




投稿者 西調布犬猫クリニック

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