手術事例ブログ

2015年1月31日 土曜日

犬 副腎の腫瘍・手術 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市 稲城市

副腎はお腹の腎臓の近くに左右それぞれ1個づつある臓器です。仕事としては主に糖質コルチコイドや電解質コルチコイドというステロイドホルモンを分泌しストレスから体を守ったり、体の中の塩分やカリウムを調節しています。さらにアドレナリンや性ホルモンも分泌します。

通常、犬の副腎は左はピーナッツ、右は矢の先っぽのような形をしており、それぞれの厚みがだいたい6ミリを超えないと言われています(犬の大きさにより範囲は異なります)。

副腎の形や大きさに異常が見られる場合には何らかの病気があると考えられます。その異常として代表的な物に副腎の腫瘍があります。その腫瘍が機能的で過剰に上記のホルモンを分泌している場合には何らかの臨床症状を示している場合がみられます。たとえば糖質コルチコイドが過剰に分泌されると多飲多尿や多食、脱毛、ビールっ腹(coldsweats01腹筋が少なくなり、腹腔内の脂肪が増えますのでぽっこりとおなかが出ます)、呼吸筋も減りビールっ腹も手伝って呼吸がしづらくなりますので呼吸が早くなったり・・・といろいろな症状が見られます。ただしアドレナリンが過剰分泌される褐色細胞腫で見られる頻脈や不整脈、高血圧などの症状は普段気付きにくく、不整脈で虚脱を繰り返して発見される場合もあります。
 さらに厄介なのは非機能型の場合です。このばあい副腎のサイズは正常範囲を超えているがホルモンの過剰産生は起こらず臨床症状は認められません。この場合には慎重な経過観察が必要です。

一般的に大きさが2㎝超えると悪性腫瘍である確率が高くなるとされています。さらに形や内部構造の異常、多臓器への転移の有無などを慎重に検査し治療の判断をすることが大事です。


このワンちゃんは副腎が5センチを超えておりましたが、ホルモン検査では何度検査しても過剰分泌があるのかないのか微妙な範囲でした。非機能型の可能性もあり定期的に検査を繰り返し経過を追っていました。その結果徐々に大きさが増し6センチを超えてきましたので悪性腫瘍の可能性も否定できないと判断し手術にて切除しました。

赤い肝臓の右側にある丸いものが腫大した副腎です


副腎はとても血管に富んだ臓器ですので出血が起こりやすく慎重な操作が必要です。大出血に備え後大静脈に臍帯テープをかけておきます。


少しづつ周囲を剥離していきます


後大静脈という大きな血管にべったりくっついていますのでゆっくりと剥離します。


切除したところです


病理検査では「副腎腺癌」という悪性腫瘍でした。腫瘍も取りきれているという結果で一安心です。
現在手術から3年経過しておりますが再発無く元気に過ごしております。


副腎腫瘍の治療は第一に外科的切除です。しかし血管が豊富でさらに手術操作のしにくい位置に存在していることで難易度は高いとされています。ただし手術後2週間を乗り切ればその後の予後はおおむね良好とされています。手術をするかしないかの判断はとても難しいのです。しかし症状がある場合には積極的に治療をすることで多くの場合その後の生活の質が向上します。反対に判断に迷い手術の機会を失った場合には最悪の結果を招いてしまうことがありますので注意が必要です。

投稿者 西調布犬猫クリニック

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