手術事例ブログ
2015年1月10日 土曜日
犬猫 鼠径ヘルニア 手術 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市 稲城市
鼠径ヘルニアとはお腹の中の腸や膀胱、子宮などの臓器や脂肪組織が鼠径部にある鼠径管から出てしまっている状態です。でている穴の部分をヘルニア孔といいます。
飼い主が気付く症状として柔らかいできものが後ろ足の付け根の内側にぽこっと出ている状態です。
先天性のこともありますし、事故などでお腹に強い力がかかったりすることで後天的に起こることもあります。ちなみにワンワンと吠えることが多いワンちゃんに多い印象がありますので興奮しやすいわんちゃんは起こりやすいのかもしれません。
はじめ痛みを伴うことはありませんし、ほとんどなんの症状も示しません。しかし何かのきっかけでさらに脱出している臓器が増え、ヘルニア孔がキツくなり、血流がうっ滯したりすると痛みが発生し嘔吐や元気が無くなるなどの症状があらわれます。その状態を放っておくと脱出している臓器が壊死したり、腸閉塞が起こったりして命に関わる事態になります。鼠径ヘルニアは安易に放置せず積極的に手術で整復した方がよいのです。
このワンちゃんは通常の鼠径ヘルニアです。鼠径部に鶏卵大のブヨブヨができたとのことで来院されました。すでに麻酔がかかっており仰向けの状態でヘルニア内容物がお腹の中へ戻ってしまっているので腫れはわずかにしかみられません。
皮膚を切開し周囲の組織を剥離していきます
指で示しているのがヘルニア孔から脱出している腹腔内の脂肪です
ヘルニア内容物を腹腔内にもどしたあとのヘルニア嚢(この場合は鞘状突起)です
軽くお腹を圧迫すると再度ヘルニア嚢内に脂肪が脱出してきます
ヘルニアをすべて腹腔内に環納したところです
ヘルニア孔に指は小指が入るくらいの大きさでした
ヘルニア孔を塞ぐため糸を周囲にかけています
縫合が終了したところです鼠径輪の尾側は後肢にいく重要な血管や神経がでているため完全には閉じません
皮膚の縫合を終えたところです
もう一例
このワンちゃんは以前から鼠径ヘルニアがあったものの、手術は避けたいとのことで経過をみていました。しかし数日前からヘルニア部分の腫脹が大きくなり元気食欲も無くなってきたとのことで来院されました。痛みが強く、嘔吐がみられたため緊急手術を行いました。
ヘルニア内容物はうっ血し赤黒い色を呈していました。
開腹して内側から内容物を調べると腸管が入っているのがわかりました。
ヘルニア嚢を破くと変色した腸と脂肪がみられました
腸管の一部と脂肪は壊死していました。この部位は回復できませんので切除することにしました
腸管を切除しているところです
腸の切り取った端と端を縫合したところです
皮膚を縫合し、終了したところです
鼠径ヘルニアではありませんがもう一例
他院にてヘルニアを手術したがまたその部位が腫れてきたとのことで来院されました。
前回の手術時の術創が下に見えます。癒着があると想定し正中を切開しました。この方が解剖学的な位置も把握しやすくなります。
ヘルニア孔と前回の手術時の縫合糸が見えます。縫合糸は腹壁からは遊離しており無意味な状態になっています
脱出していた脂肪組織です。よく探索してみると鼠径ヘルニアではなく大腿ヘルニア(大腿管の欠損部を通じて脱出している状態)でした。個人的に鼠径ヘルニアよりも整復は難しいと考えています。
組織を丁寧に剥離し、位置関係を見ます。
縫合糸をかけています。鼠径ヘルニアのように強い靭帯が無いので血管や神経を避けながらなるべく強度が強い組織にかけていきます
縫合を終えたところです
皮膚の縫合を終えたところです
このワンちゃんも大腿ヘルニアです。しかも再発したとのことで来院されました。
ヘルニア内容物はうっ血により変色しています
再発症例ですので去勢手術を行い精巣を包んでいる丈夫な膜をヘルニア孔の閉鎖に使用しました。
丈夫な鞘膜によりヘルニアを整復したところです。精巣鞘膜を利用する以外にポリプロピレンメッシュをいう人工材料で塞ぐこともできますが、今回の症例はダックスフントであったため、異物に対する組織反応が強く起こる可能性を考慮し人工材料の使用は避けました。
次のワンちゃんは鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアが両側にみられました。犬種はダックスです。
ヘルニア周囲を丁寧に剥離し探索すると恥骨前腱も一部断裂していました。
ヘルニア内容物は腹腔内の脂肪でした。
ヘルニア内容物を切除し、閉鎖したところです。これだけでは強度に不安がありますので同時に去勢手術を行い鞘膜を使い補強しました。
鞘膜を縫合しているところです
広範囲に渡りヘルニア孔が形成されていますのでしっかりと縫合していきます
反対側の状況も同様です。こちらも鞘膜により閉鎖しました。
ちなみにこちらはおへそのヘルニアです。臍ヘルニアといいます。これも放っておくと腸管などが脱出する可能性がありますので可能な限り手術で治した方がいいです。
ヘルニア孔から脱出していた脂肪組織。
腹腔内の脂肪とつながっているのがわかります。
ちなみにこれは鼠径ヘルニアではなく、皮下にある潜在精巣が腫瘍化し大きくなってしまった様子です。とてもにていますが間違えないように気をつけましょう。
飼い主が気付く症状として柔らかいできものが後ろ足の付け根の内側にぽこっと出ている状態です。
先天性のこともありますし、事故などでお腹に強い力がかかったりすることで後天的に起こることもあります。ちなみにワンワンと吠えることが多いワンちゃんに多い印象がありますので興奮しやすいわんちゃんは起こりやすいのかもしれません。
はじめ痛みを伴うことはありませんし、ほとんどなんの症状も示しません。しかし何かのきっかけでさらに脱出している臓器が増え、ヘルニア孔がキツくなり、血流がうっ滯したりすると痛みが発生し嘔吐や元気が無くなるなどの症状があらわれます。その状態を放っておくと脱出している臓器が壊死したり、腸閉塞が起こったりして命に関わる事態になります。鼠径ヘルニアは安易に放置せず積極的に手術で整復した方がよいのです。
このワンちゃんは通常の鼠径ヘルニアです。鼠径部に鶏卵大のブヨブヨができたとのことで来院されました。すでに麻酔がかかっており仰向けの状態でヘルニア内容物がお腹の中へ戻ってしまっているので腫れはわずかにしかみられません。
皮膚を切開し周囲の組織を剥離していきます
指で示しているのがヘルニア孔から脱出している腹腔内の脂肪です
ヘルニア内容物を腹腔内にもどしたあとのヘルニア嚢(この場合は鞘状突起)です
軽くお腹を圧迫すると再度ヘルニア嚢内に脂肪が脱出してきます
ヘルニアをすべて腹腔内に環納したところです
ヘルニア孔に指は小指が入るくらいの大きさでした
ヘルニア孔を塞ぐため糸を周囲にかけています
縫合が終了したところです鼠径輪の尾側は後肢にいく重要な血管や神経がでているため完全には閉じません
皮膚の縫合を終えたところです
もう一例
このワンちゃんは以前から鼠径ヘルニアがあったものの、手術は避けたいとのことで経過をみていました。しかし数日前からヘルニア部分の腫脹が大きくなり元気食欲も無くなってきたとのことで来院されました。痛みが強く、嘔吐がみられたため緊急手術を行いました。
ヘルニア内容物はうっ血し赤黒い色を呈していました。
開腹して内側から内容物を調べると腸管が入っているのがわかりました。
ヘルニア嚢を破くと変色した腸と脂肪がみられました
腸管の一部と脂肪は壊死していました。この部位は回復できませんので切除することにしました
腸管を切除しているところです
腸の切り取った端と端を縫合したところです
皮膚を縫合し、終了したところです
鼠径ヘルニアではありませんがもう一例
他院にてヘルニアを手術したがまたその部位が腫れてきたとのことで来院されました。
前回の手術時の術創が下に見えます。癒着があると想定し正中を切開しました。この方が解剖学的な位置も把握しやすくなります。
ヘルニア孔と前回の手術時の縫合糸が見えます。縫合糸は腹壁からは遊離しており無意味な状態になっています
脱出していた脂肪組織です。よく探索してみると鼠径ヘルニアではなく大腿ヘルニア(大腿管の欠損部を通じて脱出している状態)でした。個人的に鼠径ヘルニアよりも整復は難しいと考えています。
組織を丁寧に剥離し、位置関係を見ます。
縫合糸をかけています。鼠径ヘルニアのように強い靭帯が無いので血管や神経を避けながらなるべく強度が強い組織にかけていきます
縫合を終えたところです
皮膚の縫合を終えたところです
このワンちゃんも大腿ヘルニアです。しかも再発したとのことで来院されました。
ヘルニア内容物はうっ血により変色しています
再発症例ですので去勢手術を行い精巣を包んでいる丈夫な膜をヘルニア孔の閉鎖に使用しました。
丈夫な鞘膜によりヘルニアを整復したところです。精巣鞘膜を利用する以外にポリプロピレンメッシュをいう人工材料で塞ぐこともできますが、今回の症例はダックスフントであったため、異物に対する組織反応が強く起こる可能性を考慮し人工材料の使用は避けました。
次のワンちゃんは鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアが両側にみられました。犬種はダックスです。
ヘルニア周囲を丁寧に剥離し探索すると恥骨前腱も一部断裂していました。
ヘルニア内容物は腹腔内の脂肪でした。
ヘルニア内容物を切除し、閉鎖したところです。これだけでは強度に不安がありますので同時に去勢手術を行い鞘膜を使い補強しました。
鞘膜を縫合しているところです
広範囲に渡りヘルニア孔が形成されていますのでしっかりと縫合していきます
反対側の状況も同様です。こちらも鞘膜により閉鎖しました。
ちなみにこちらはおへそのヘルニアです。臍ヘルニアといいます。これも放っておくと腸管などが脱出する可能性がありますので可能な限り手術で治した方がいいです。
ヘルニア孔から脱出していた脂肪組織。
腹腔内の脂肪とつながっているのがわかります。
ちなみにこれは鼠径ヘルニアではなく、皮下にある潜在精巣が腫瘍化し大きくなってしまった様子です。とてもにていますが間違えないように気をつけましょう。
投稿者 西調布犬猫クリニック