手術事例ブログ

2013年12月23日 月曜日

イヌの前肢の軟部組織肉腫(血管周皮腫)の手術 調布市 府中市 三鷹市 武蔵野市 稲城市 動物病院

犬の軟部組織肉腫は線維肉腫、血管周皮腫、抹消神経鞘腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球種などの軟部組織にできる肉腫のことをいいます。大きさや固さはいろいろで体幹や四肢などにできます。ゆっくり成長していき多くの場合は臨床的な徴候を示しませんが末しょう神経に由来するものでは痛みを示すことがあります。浸潤性が強く腫瘍の塊のみをくりぬくような手術では再発が多く見られます。ゆえに十分なマージンをとり、切除することが重要で、うまくすれば完治することもあります。腫瘍が大きく底部組織への浸潤が強く完全切除が不可能な場合には断脚手術が選択される場合もあります。しかし安易に断脚を選択するべきではないと考えます。できるかぎり手術で取りきるよう努力し、病理検査の結果運悪く腫瘍がわずかに残存してしまったり、腫瘍のグレードが高いものに関してはその後、放射線治療や抗がん剤治療で残った腫瘍を叩く努力をすることで足を温存することも可能な場合が多々あります。



このワンちゃんは1ヶ月まえに腕のシコリに気付き、2件の動物病院を受診したところ、細胞診で悪性腫瘍の結果がでたので断脚手術が必要を言われました。



 なんとか足を切らない方法は無いかということで当院に来院されました。当院ではまず腫瘍組織を生検針で採取し病理検査を行いました。その結果、軟部組織肉腫という診断がでました。さらに全身を検査をし、領域リンパ節や肺などの腫瘍臓器への転移が無いことを確認しました。そして手術にて断脚ではなく腫瘍のみを切除することを決断しました。


腫瘍周囲は1.5〜2㎝のマージンをとり底部は筋膜を一枚含めて切除することを計画しました。


筋膜を慎重に剥いでいるところです。


腫瘍を切除したところです。可能な限り広範囲に切除しました。
ここで問題なのがこの細い腕の周囲のほとんどの皮膚を切除したので皮膚を縫い合わせることができません。この腫瘍で断脚が選択される理由はこの皮膚欠損を補うことが難しいのが理由の一つになっています。そこで私は胸の皮膚を植皮(皮膚移植)することを決断しました。

植皮後の様子です。
これで手術は成功したように思いますが、植皮を行った場合ここからの管理が非常に難しいのです
なによりも厳密な安静が重要です。

これは手術後4日目の様子です。血液がうっ血し紫色に変色しています。

7日目の状態。

10日目の状態

14日目の状態。

17日目の状態

20日目の状態

23日目の状態

25日目の状態。これで皮膚の生着が完了しました。


術後2ヶ月の状態です。色素新着で皮膚が黒ずんでいますが皮膚の機能としては問題ありません。
植皮の問題としてはこの色素沈着と毛がきれいに生えてこないということですね。このコはこの数ヶ月後には毛もポヨポヨと生えていまして、周りの毛で半分隠れている感じでそんなに目立たなくなってきています。まあ足が無いのに比べればそのくらいはご勘弁ください。
このコは現在のところ再発も無く、元気に走り回っています。


術後6ヶ月の状態です。毛も生えてきて手術の跡も目立たなくなっています。

胸の皮膚から植皮していますので毛が長くなっています。









注意:骨肉腫や血管肉腫などの悪性度の非常に高い腫瘍で、断脚手術をしない方法はあるかという問い合わせがあります。このような悪性度の高い腫瘍や痛みの強い場合には断脚が第一選択になることがあります。なにがなんでも足を切らないのがベストと言っているわけではありませんのでご理解ください。









犬猫さんの手足の腫瘍にお困りのかたは西調布犬猫クリニックまでご相談ください

調布市はもちろん府中市、三鷹市、狛江市、小金井市、武蔵野市、稲城市からも来やすい立地となっております。車で来ても簡単駐車。




投稿者 西調布犬猫クリニック

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