手術事例ブログ

2013年9月 6日 金曜日

前腕骨折の手術

前足の肘より遠位というか手首から肘までの部分を前腕といいます。その部分の骨はとう骨と尺骨という骨が二本並んであります。ネコの前腕の骨は太くて折れにくいのですが、イヌの前腕の骨は先に行くほど細くなって行き特に小型犬では前腕の手首側3分の1の部分の骨折が多く見られます。トイ・プードル、ポメラニアン、イタリアン・グレーハウンド、マルチーズなどで前肢の骨折はよく起こります。抱いていて、そこから飛び降りただけでも折れることがありますので注意が必要です。治療はほとんどの場合外科手術による整復が必要です。骨折部のズレがわずかな場合には外固定(いわゆるギプス)による治療もありますが適切な固定、適切な運動制限ができない場合に癒合不全を起こすことが多々ありますので基本的には手術による整復をおすすめします。手術で整復する場合、いくつか方法があります。固いステンレスの細い棒(Kワイヤー、ステインマンピン)を骨折部をまたいで骨髄の部分に入れ固定する方法と骨をステンレスの棒で数カ所串刺しにしてその棒を固定する創外固定法、さらにステンレスのプレートと呼ばれる板とネジで固定するプレート固定法などがあります。当院ではもっとも確実な方法としてプレートによる固定を行っています。若い場合には髄内ピンによる固定を行うこともあります。


1:トイプードルの前腕骨折です。骨が細いので細くて薄いプレートを使います。体重によって厚さを選択します。この場合はスタッキングといって薄いプレートを2枚重ねています。
  




2:同じくトイプードルの例です。この例もスタッキングを行っています。
 
 


3:これは猫の前腕の複雑骨折の例です。骨折片がバラバラになっているので骨折部分にはネジを入れられません。プレートの両脇にネジ穴が集中して真ん中部分は強度を上げるためネジ穴のあいていないプレートを使用しています。




4:マルチーズの例です。このコは体重が軽いため薄いプレートを1枚使用しています。
 


小型犬の前腕骨折は適切な治療が行われればほぼ治すことができますが、もともと骨が細くて薄い場所でさらに血流も少ない場所なので癒合不全がおこることもあります。その原因としてもっとも多いのが不適切な固定によるものです。安易に外固定を選択したり、髄内ピン単独での治療であったり、ピンが短すぎる、太すぎる、プレートが薄すぎる、短すぎるなどにより固定がうまくいかないと最悪骨が溶けてしまいます。そうなるとさらに治療は困難を極め断脚などを考えないといけない事態になることもあります。基本的に人間と動物の骨折治療は異なります。人間の場合ギプスを巻いて、あとは動かさないでおけばいい場合もありますが、動物の場合は確実に動きます。さらに必死にギプスを取ろうとします。ゆえにしっかりとした固定が必要なのです。何事も最初が肝心。「はじめに軽くやってみてなんて」考えだと後々大変な思いをするかもしれません。

前腕骨折のレントゲン写真


手術後のレントゲン写真


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投稿者 西調布犬猫クリニック

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